光と影のあわいに生まれる、新しい京都のスーツ
300 年の歴史を持つ京友禅を、現代のスーツやジャケットへと仕立てる KOMOREBI Kyoto。伝統を保存するのではなく、光と影の「あわい」に立つ装いとして生かす試みを紹介する。

光と影のあわいに生まれる、新しい京都のスーツ
300 年の歴史を持つ京友禅を、現代のスーツやジャケットへと仕立てる KOMOREBI Kyoto。伝統を保存するのではなく、光と影の「あわい」に立つ装いとして生かす試みを紹介する。

京都の町に、声高に語ることなく、しかし確かに心に残るブランドがある。その名は KOMOREBI Kyoto。
着物素材、とりわけ 300 年の歴史を持つ京友禅きょうゆうぜん京都で受け継がれてきた友禅染。糊で模様の輪郭を描き、絹地に絵のような模様を染める。江戸時代中期の絵師・宮崎友禅斎の名に由来するとされる。用語集で見るを、現代のスーツやジャケットへと昇華させるこのブランドは、単に伝統を継承する存在ではない。それは、日本が育んできた「静けさの力」を、現代の衣服として再構築する試みである。

京友禅を「遺産」にしないという選択
京友禅は江戸時代より続く、日本三大友禅のひとつ。四季の移ろい、寺社の静寂、町家まちや通りに面して建つ、商いと住まいを兼ねた伝統的な町の家。京都の町家は、間口が狭く奥行きの深い造りで知られる。用語集で見るに差し込む柔らかな光──京都という都市の情景そのものが、布の上に描かれてきた。

しかし、その文化はいま静かな危機の只中にある。
KOMOREBI Kyoto は、それを保存すべき過去として閉じ込めるのではなく、現代の装いとして再び機能させる道を選んだ。伝統工芸の職人とテーラーの精緻なクラフトマンシップを融合し、世界共通のフォーマットであるスーツへと落とし込むことで、京都から世界へ、静かに差し出していく。
それは、文化を守るのではなく、生かすという選択である。

光ではなく、「あわい」に立つ
KOMOREBI Kyoto の思想は、強い光を誇るものではない。かといって、闇に沈むことを選ぶわけでもない。
木々の間から差し込む木漏れ日こもれび木々の葉の間から差し込む日の光。用語集で見るのように、光と影の「あわい」に立つこと。
外側には節度ある静かな佇まい。内側には、京友禅の豊かな表情と、揺るぎない誇り、そして時間を重ねた精神が忍ばされている。
それは、誇示ではなく佇まいを選ぶ者のための美。見る者すべてに語りかけるのではなく、その佇まいに共鳴する心にだけ、そっと触れるラグジュアリーである。

沈黙の中に宿る品格
この思想の根底には、二人の思想家の精神がある。
新渡戸稲造が『武士道』で示したのは、沈黙の中に宿る品格だった。声高に主張せずとも伝わる強さ。節度と誠実さ。

そして、岡倉天心が『茶の本』で見出したのは、陰翳や余白にこそ生まれる美。不完全さや揺らぎを受け入れる美意識。

KOMOREBI Kyoto の服は、その思想を現代の身体の上に宿す。外側の抑制と均衡。内側の揺らぎと歴史。
二重性こそが、このブランドの核である。
纏うことで、在り方を映す
KOMOREBI Kyoto の一着は、単なる衣服ではない。それは、心を整え、自身の在り方を映し出す装置である。
光に立ちながら、影を味方にすること。語らずとも伝わる存在であること。

その静かな強さは、いま世界が求めるクワイエット・ラグジュアリーのさらに奥にある、日本固有の精神へとつながっている。

京都から世界へ。KOMOREBI Kyoto は、日本が育んできた静けさの力を一着に封じ込め、時を重ねながら、静かに差し出し続けていく。










